周囲の皮膚よりメラニン濃度が増加した状態のことを通常「シミ」と呼んでいますが、実はその病態は多様で様々な種類があります。日常の診療でよく見かけるシミには次のような種類があります。
老人性色素斑
最も多いタイプのシミです。老人性とありますが、この言葉にあまり深い意味はなく、若い人(20代後半~)にもできます。境界明瞭な茶褐色斑で色の濃さや大きさなど様々です。日光のあたる顔の側面にでき易いのが特徴です。顔以外に背中や手、腕などにもできます。
肝斑
女性に多く、頬骨の突出部や額などに左右対称にできる地図上のシミです。過剰刺激、女性ホルモンなどが原因といわれています。肝斑は刺激に弱いため、強いレーザーによる治療はかえって状態を悪化させます。
脂漏性角化症(老人性イボ)
いぼのように表面が少し膨隆した茶褐色のシミです。紫外線暴露が原因で、ゴルフやマリンスポーツをされている方などの顔面に多発しているケースが多くあります。組織学的には老人性色素斑とほとんど同じで、平坦か盛り上がっているかの違いです。
雀卵斑(そばかす)
学童期に遺伝的に発生し、鼻を中心に左右対称に散在します。大きさは比較的均一で3~5ミリ程です。先天的に皮膚の色を均一にする機能に異常があると言われており、根治させることはできませんが、しばらく(数年)きれいな状態に保つことはそれ程難しいことではありません。
後天性真皮メラノサイトーシス
成人になってから両側性に頬や額に出現する灰褐色~濃褐色のシミです。他のタイプと異なり真皮層にメラノサイト(メラニン産生細胞)を認めます。ピコ秒レーザーという非常に強力なレーザーでのみ治療可能です。
炎症後色素沈着
皮膚に何らかの理由で炎症が起こると、その後に色素沈着を残します。この色素沈着は炎症が治まれば多くの場合半年~1年の経過で徐々に薄くなっていきます。最終的に残ってしまったものが治療対象となります。
シミはその種類に応じて適切な治療方法を選択することが重要です。
老人性色素斑
シミのメラニンに選択的に反応するレーザーを使用します。最も推奨される治療方法はピコ秒レーザーやナノ秒レーザーです。かさぶたを作りたくない方はIPLやレーザーフェイシャルもオススメです。
肝斑
刺激の強い治療は肝斑を悪化させる要因となるため、マイルドなレーザー治療を選択します。近年、レーザートーニングというレーザーを弱くたくさん当てる(低出力高頻度照射)治療法が注目されています。肝斑治療は一朝一夕には成功しません。長期間にわたる治療が必要となります。
脂漏性角化症
炭酸ガスレーザーで盛り上がって角化している部分を削る治療がおすすめです。
雀卵斑(そばかす)
老人性色素斑と同様の治療法、つまりピコ秒レーザーやナノ秒レーザーが有効です。また、数多くできるものなので、面での治療ができるIPLやレーザーフェイシャルもオススメです。しかし、そばかすは遺伝的素因により発生するものなので、一度そばかすを取り切ったとしても、いずれはまた出てくるものと言えます。
後天性真皮メラノサイトーシス
実態はあざに近いものなので、複数回の治療が基本になります。ピコ秒レーザーやナノ秒レーザーを使用して治療します。他の治療は効果がありません。
炎症後色素沈着
皮膚が刺激を受けて過剰にメラニンを産生している状態のため、レーザーによるさらなる刺激はより事態を悪化させます。内服薬・外用薬が治療の中心になります。
※料金は税込表示です。
※ピコレーザートーニング・レーザーフェイシャル・IPLにイオン導入をお付けになる場合は1回ごと +6,600円、5回 +29,700円となります。
※ピコレーザートーニング・レーザーフェイシャル・IPLにエレクトロポレーションをお付けになる場合は1回ごと +16,500円、5回 +74,250円となります。
※ピコレーザートーニング・レーザーフェイシャル・IPLにハイドラフェイシャルをお付けになる場合は1回ごと +16,500円、5回 +74,250円となります。
(ハイドラフェイシャルが適用ではない場合もあります。詳細は医師にご確認ください)
院長からのコメント
監修医師:大阪梅田院院長・谷聡柄医師
形成外科専門医
【所属学会】
日本形成外科学会/日本美容外科学会/日本創傷外科学会/日本乳房オンコプラスティック学会
ミラドライ認定医/ウルセラ認定医/サーマクール認定医