
最近、「リポットレーザーは大したことがない」「ただのQスイッチレーザーにすぎない」といった否定的な意見を目にすることがあります。しかし実際には、リポットレーザーを使ったことがない医師が推測や思い込みで発信しているケースも少なくありません。
残念なことに、美容医療の世界では、「自分が導入している機器は優れている」「導入していない機器は取るに足らない」といった主観的な意見が発信されやすい傾向にあります。本記事では、そうした偏った情報に惑わされないよう、リポットレーザーの真の実力と開発背景について、臨床の現場から解説いたします。
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リポットレーザー開発の背景

日常診療の中でシミ治療を多く行っていると痛感するのが、「シミはそう簡単には取れない」という事実です。従来、シミ取りにはQスイッチレーザーやピコレーザーが使用されてきましたが、これらを照射すること自体は難しくありません。問題はその治療結果に伴う2つのリスクです。
- 再発(フルエンス不足による取り残し)
- 炎症後色素沈着(メラノサイト刺激による過剰反応)
リポットレーザーは、まずこのうち「再発を減らす=1回で取り切る」という課題に着目し、開発が進められました。
シミを1回で取るために必要な条件
1回の照射でシミを取り切るためには、メラニンへの吸収効率が高い波長と出力の大幅な強化が欠かせません。
リポットレーザーでは、メラニン吸収に優れた532nm(半波長YAG)を採用し、さらに照射出力を飛躍的に高めることで、従来のQスイッチレーザーやピコレーザーでは難しかった「1回での除去」を目指しています。
高出力化に伴う課題

532nmはメラニンへの反応性が非常に高い一方で、酸化ヘモグロビン(赤血球に含まれる色素)への吸収も強い波長です。高出力で照射すれば、シミへの反応は強まりますが、同時に血管反応・熱産生も大きくなり、色素沈着を引き起こすリスクが高まります。
この課題を克服するために、リポットレーザーには2つの独自技術が搭載されました。
色素沈着リスクを抑えるための2つの工夫
① ハイパー冷却機能
リポットレーザーでは、皮膚温を約0℃まで冷却してから照射します。表面には不凍液を塗布し、照射面のガラス板で皮膚を圧迫。血管を収縮・圧排することで、照射野のヘモグロビン量を極限まで減少させます。これにより、血管系への不要な反応を抑え、メラニンに選択的な照射が可能となります。
② スキャナー照射機能
リポットレーザーは、シミを自動スキャンして過不足なく照射するシステムを搭載。手動照射では重ね打ちや照射漏れが生じやすく、出力ムラが色素沈着の原因となりますが、スキャナー機構により均一かつ適切なエネルギー分布を実現します。
実際の色素沈着リスクは?
リポットレーザーは、高出力かつメラニン選択的に照射するため、本来であれば色素沈着が強く出てもおかしくない条件です。それでも実際には、他のQスイッチ・ピコレーザーと比較しても発生頻度は低く、軽度であることが多いと報告されています。
ただし、どんなデバイスであっても色素沈着の可能性はゼロではありません。特に顔全体への「取り放題照射」を行う場合、照射ポイントが多いため、色素沈着が出た場合で言えば、色素沈着が目立ちやすくなる傾向があります。そのため、患者様の肌質やリスク許容度に応じた照射範囲の検討が重要です。
よくある誤解とその背景

「リポットレーザーは色素沈着が多い」?
色素沈着は、Qスイッチ・ピコを問わず起こり得る合併症です。リポットレーザーであっても当然に、施術数が増えれば症例数も比例して見られますが、頻度としては他機種より高いわけではありません。むしろ、1回での除去効果が高いことを踏まえれば、総施術回数を減らせる点でリスク軽減に寄与しているといえます。
「血管収縮は他の方法でもできるのでは?」
確かに、冷風やアイスパック、血管収縮薬の局所注射でも一時的な収縮は可能かもしれません。しかし、リポットのハイパー冷却+圧排による収縮・無血化効果は次元が異なります。さらに、高出力照射を安全に行うために設計されたシステム全体が、他機器との決定的な違いです。単に冷却を追加しただけのQスイッチレーザーやピコレーザーでは、同様の結果は得られません。※注射の場合は内出血リスクがあるため、内出血した場合は逆に色素沈着リスクが大幅に高まることになります。
適応と不適応

とはいえ、リポットレーザーは万能ではありません。肝斑のような炎症性色素疾患や、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)のような深在性の色素病変には不適応です。、また非常に細かいシミが多数存在する場合も、全てに照射するのは非現実的です。
さらに、肌状態が悪い場合や炎症後色素沈着を避けたい方には、IPLやロングパルスレーザーなどのマイルドな治療の方が適していることもあります。
まとめ:リポットレーザーの真価
リポットレーザーは、
- 1回でシミを取り切ることを目的に設計された高出力Qスイッチレーザー
- ハイパー冷却+スキャナー機構で副反応を最小限に抑制
- 従来のレーザーよりも効率的かつ安全に高出力照射が可能
という、非常に完成度の高い機器です。
確かにテープ保護が必要で、施術後のダウンタイムもあります。しかし、「消しゴムで消したようにシミが取れる」という高い即効性は、他のデバイスにはない魅力です。
根拠の乏しい批判に惑わされず、臨床実績に基づいた正しい評価を行うことが大切です。リポットレーザーは、今後もシミ治療の選択肢として、多くの患者様の悩みを解決していくことでしょう。




