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ウルトラクリアの何がすごい!? 炭酸ガスレーザーとの違いを「蒸散」と「凝固」から解説

ウルトラクリアレーザーの何がすごいの?|蒸散と凝固を使い分ける

ウルトラクリアレーザーは、肌の表面を整える治療から、真皮へのアプローチ、さらにレーザーコアリングまで行えるレーザーです。

では、従来の炭酸ガスレーザーと、何が違うのでしょうか。

その特長を理解する鍵が、「蒸散(ablation)」と「凝固(coagulation)」です。今回は、少しマニアックに、レーザーが皮膚に起こす変化から解説します。

皮膚を「取り除く作用」と「熱を残す作用」

レーザーによるリサーフェシングを理解するうえで、まず区別したいのが次の2つです。

蒸散(ablation)は、レーザーのエネルギーで組織内の水分が急速に蒸発し、組織が取り除かれる作用です。点状に照射すると、皮膚には微細な穴ができます。

一方、凝固(coagulation)は、組織が取り除かれずに残り、熱によってタンパク質が変性する作用です。蒸散した穴の周囲に、熱で変化した組織の層ができるとイメージするとわかりやすいでしょう。

凝固作用は止血に役立ち、コラーゲンの収縮や、その後の再構築にも関係します。ただし、熱の影響が大きくなれば、周囲の組織への負担も増えます。

つまり、治療を考える際には、「どれだけ組織を取り除くか」と「周囲にどれだけ熱作用を与えるか」の両方が重要になります。

炭酸ガスレーザーは、蒸散と凝固の両方を起こす

炭酸ガスレーザーの波長は10,600nmです。皮膚に含まれる水に吸収され、組織を蒸散させるとともに、周囲に凝固層を形成します。

この凝固作用には、出血を抑えるという利点があります。一方で、蒸散の周囲に残る熱の影響も考慮しなければなりません。

ただし、炭酸ガスレーザーの性質は、機器の名前だけでは決まりません。パルス幅、出力、照射の重なりなどによって、蒸散と熱損傷の関係は変化します。短いパルスで余分な熱を抑える技術も発展しています。「炭酸ガスレーザーは必ず熱損傷が大きい」と一括りにはできない点は、押さえておきたいところです。

ウルトラクリアは、蒸散を効率よく起こす2,910nm

ウルトラクリアは、2,910nmの波長を用いる、エルビウム添加フッ化物ガラスのファイバーレーザーです。

この波長は、水に強く吸収される領域にあります。組織の水分にエネルギーを効率よく吸収させ、周囲に残る熱損傷を抑えながら蒸散を起こす設計です。

メーカーは、その特性を「エネルギーの95%を蒸散に使い、残留熱は5%」と説明しています。

ここは、少し注意が必要です。
これはメーカーによるエネルギー配分の説明であり、「照射した皮膚の95%がなくなり、5%が凝固する」という意味ではありません。 また、すべての治療モードで凝固作用が一定という意味でもありません。
2024年の論文では、炭酸ガスレーザーのthermal impactを60%、ウルトラクリアでは5%から60%超まで調整可能とする説明もあります。ただし、これを全機種・全設定に共通する厳密な比率として扱うことはできません。

注目したいのは、数字そのものよりも、余分な残留熱を抑えた蒸散を土台にできることです。

本当に面白いのは、必要な凝固作用を追加できること

「熱が少ない」というだけなら、従来のEr:YAGレーザーにも同様の特長があります。

ウルトラクリアで注目したいのは、蒸散を行うパルスと、凝固を目的とする低エネルギーのパルスを組み合わせる仕組みです。

論文では、組織を蒸散させる短い照射の間に、蒸散閾値に達しない低エネルギーの照射を加える構造が説明されています。この凝固用の照射は、省略したり、強度を変更したりできます。

「蒸散閾値」とは、組織を蒸散させるために必要なエネルギーの境目です。それに届かない照射を組み合わせることで、組織をさらに取り除く作用とは別に、熱作用を加えます。

蒸散の深さだけでなく、凝固の程度も調整する。
ここが、ウルトラクリアの技術を理解するうえで重要なポイントです。ただし、蒸散と凝固を物理的に完全に切り離せるという意味ではなく、凝固を抑えた設定でも残留熱は生じます。

※炭酸ガスレーザーにも、熱作用を調整するさまざまな機種があります。表は基本的な仕組みを整理したものです。

「冷たいレーザー」でも、熱作用がないわけではありません

メーカーはウルトラクリアを「Cold Fiber Laser」と表現しています。

しかし、皮膚を冷やして治療するわけではありません。蒸散は熱による現象であり、凝固作用を追加する設定もあります。

実際、摘出した眼瞼皮膚を用いた研究では、深度300μm・中程度の凝固設定で、蒸散した穴の周囲に平均約43μmの熱損傷層が確認されています。

レーザーコアリングの別の研究では、5名から得られた15本の微細な穴を解析し、平均直径約243μm、平均蒸散深度約980μm、周囲の凝固層の幅は平均約104μmと報告されています。

これらは条件の異なる研究なので、数値だけで優劣を比較することはできません。わかるのは、ウルトラクリアの凝固層は常に同じ厚さではなく、モードや設定によって変わるということです。

レーザーコアリングでは「取り除く作用」にも注目

レーザーコアリングは、皮膚に微細な柱状の蒸散孔を作る治療です。前述の組織学的研究では、真皮の中層から深層に達する穴が確認されています。

ただし、炭酸ガスフラクショナルレーザーも、点状に組織を蒸散させます。「微細な穴を作れること」自体が、ウルトラクリアだけの特長というわけではありません。

比較する際には、穴の深さや直径に加えて、周囲の凝固層、照射密度まで見る必要があります。「穴を作るレーザー」という同じ説明でも、組織に起こしている変化は同じとは限らないのです。

ダウンタイムは、機器名だけでは決まりません

残留熱を抑えられることは、回復を考えるうえで重要な要素です。しかし、深く蒸散させたり、照射密度や凝固作用を増やしたりすれば、皮膚への負担も変化します。

ウルトラクリアでも、赤み、腫れ、点状出血、かさぶたなどが生じます。顔と首を治療した臨床研究では、これらの反応が5〜7日続き、一時的な色素沈着も報告されています。

「ウルトラクリアだからダウンタイムが短い」と一律に考えるのではなく、どのモードで、どの深さ・密度・凝固設定で治療するのかが重要です。

 当院が注目するのは「蒸散と凝固を組み立てる」という発想

ここまでの仕組みから、ウルトラクリアの価値は、単に熱を少なくできることにとどまらず、蒸散と凝固のバランスを、治療目的に合わせて組み立てやすいことにあると考えています。

肌表面を整える治療、真皮に働きかける治療、レーザーコアリング。それぞれで必要となる組織への作用は異なります。

余分な熱を抑えて蒸散させ、必要に応じて凝固作用を加える。この設計には、肌質やしわ、ニキビ跡などへの治療を考えるうえで、技術的な面白さがあります。

ただし、この仕組みだけで、すべての治療における炭酸ガスレーザーへの優越性が証明されたわけではありません。

当院では、治療で期待できる変化とダウンタイムを踏まえ、肌の状態やお悩みに合わせた照射方法をご提案します。

監修医師

竹内 孝基 医師

エースクリニック理事長

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