わきがの重症度を評価する
わきが体質かどうかの診断は比較的簡単につきますが、治療方法を選択するにあたってはその重症度を評価することが必要になってきます。なぜなら、腋臭症の治療方法はいくつかの選択肢がありますが、そのどれもが一長一短があり、絶対的にこの治療法が良いというものはないからです。端的に言えば、症状が軽いのであればなるべくリスクの少ない方法を選択した方が良いし、重症であれば効果を最大限にする治療法を選択した方が良いのです。ですので、わきが体質かどうかの診断がついたら、次はその重症度の評価を行うことが重要になってきます。
重症度を評価する方法として、通常ガーゼテストをよく行います。
このガーゼテストの結果を加味して重症度(グレード)を評価していきますが、以下のような基準があります。
- Stage1
- 全くにおわない
- Stage2
- 脇にはさんだガーゼからかすかにわかる程度
- Stage3
- 脇に鼻を近づけてよく嗅げばわかる程度
- Stage4
- 横にいてわかる程度
- Stage5
- 少し離れていてもわかる程度
ガーゼテストを利用したこの重症度評価方法は、ごく常識的な分類がされているので、一般的に広く使われています。しかし、このガーゼテスト重症度を判定するすべてというわけではありません。なぜなら、アポクリン腺の活動というのは常に一定ではなく、むしろ非常に波があるからです。1日の中でも相当なむらがあります。また、その日の衛生状態や汗の書き具合、体調などによって臭いのレベルは違ってきます。診察するのはある状態の一時点でしかないので、その人の臭いレベルを正確に判断することは簡単ではないのです。
しかも、医師の体調による影響も受けるのは必至です。ですから、私はガーゼテストというのは、重症な人を選別することはできても、軽傷か中程度の人のグレード評価をすることは容易ではないと考えています。
実際にガーゼテストではStage1と判定しても、エピネフリン(アドレナリン)負荷(局所麻酔薬の注射)を行うと、遠いところからでもプンプン臭うStage5なんていうことはそれこそしょっちゅうあります。ですので、実際の重症度判定は、ガーゼテストの結果に過度に影響されることなく、いくつかの要素を総合的に考えて行う必要があります。