手術を受けることでどれ位臭いが改善するの?
※このページは2020年5月15日に更新されました。
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効果の判定方法
わきが手術の目的はアポクリン腺の除去ですが、100%完全に除去することは現実的には難しいと言わざるを得ません。また、仮に99%除去できたとして、1%残ったとしても、臭いが99%減ったと主観的に感じるわけではありません。
客観的に臭いを数値化することは現実的には極めて困難です。仮に臭いを客観的に数値化できたとしても、その数字と主観的な不快度とは比例しません。
そのためエースクリニックでは手術の効果判定に、右のような調査票を利用して、手術を受けた方の主観的判断でどのくらい臭いや汗が減ったかを記入していただいた票を用いて手術の効果を評価しています。治療効果の判定は、術後3ヵ月後と6ヶ月の再診時に行っています。
結果の集計
では早速集計の結果を見てみましょう。
調査対象の手術はマイクロシェーバー法と反転剪除法です。
上段が術後3ヶ月のデータで、下段が術後6ヶ月のデータのデータです。
臭い、汗ともに手術前を100としたときの現在の状態を主観的数値で拾っています。
(つまり「臭い0」は「主観的に臭いを全く感じない、「臭い100」は主観的には全然変わっていないということを表しています。)
また、データは直近の100症例ずつを集計しています。
━ 術後3か月 ━
臭い | 汗 | |||
---|---|---|---|---|
マイクロシェーバー法 | 平均値 0.8 |
最小値 0 |
平均値 15.5 |
最小値 0 |
最大値 5 |
最大値 55 |
|||
反転剪除法 | 平均値 2.1 |
最小値 0 |
平均値 19 |
最小値 0 |
最大値 10 |
最大値 100 |
━ 術後6か月 ━
臭い | 汗 | |||
---|---|---|---|---|
マイクロシェーバー法 | 平均値 3.8 |
最小値 0 |
平均値 25.2 |
最小値 0 |
最大値 30 |
最大値 70 |
|||
反転剪除法 | 平均値 5.7 |
最小値 0 |
平均値 23.6 |
最小値 0 |
最大値 42 |
最大値 100 |
予想外の驚きの結果!!
臭いの改善度
まずは臭いについて見ていきましょう。
術後3ヶ月の平均値はマイクロシェーバー法が0.8、反転剪除法が2.1という結果が出ました。さらにバラツキですが、マイクロシェーバー法は最小値0最大値5、反転剪除法は最小値0最大値10で大きなバラツキは見られませんでした。これは良い結果と言えるでしょう。ちなみに術後3ヶ月で臭いが0であると回答した方の割合は、マイクロシェーバー法で75%、反転剪除法で63%でした。
次に6ヶ月のデータですが、平均値はマイクロシェーバー法が3.8、反転剪除法で5.7という結果がでました。平均値で見ると良い結果と言えると思います。最大値でマイクロシェーバー法で30、反転剪除法で42とありますが、これらは全体の分布から大きくはずれた数字で、主観を基にしたデータではどうしても異常値が出てしまうのはやむを得ないと思います。
以上のことより、マイクロシェーバー法、反転剪除法ともに良好な臭いの除去効果が得られ、術後半年後の主観的な臭いの量は手術前の0~20%(平均約5%)となることが予測されると結論できます。また、マイクロシェーバー法と反転剪除法の効果には全く差がないことも明らかとなりました。
汗の改善度
次に汗です。
まず、エースクリニックではマイクロシェーバー法や反転剪除法といった外科的わきが手術は汗を抑える効果が高いとは元々考えていません。理由はまた、別の記事で紹介することにしますが、わきが手術をたくさん行い、その結果についてきちんとアンケート調査を行って評価をしていると、それは自明なのです。
では結果を見ていきましょう。
術後3ヶ月の平均値はマイクロシェーバー法で15.5、反転剪除法で19.0という結果が出ました。また、マイクロシェーバー法は最小値0最大値55、反転剪除法は最小値0最大値100で、比較的大きなバラツキが見られました。これは後述する通り、バラツキが大きいのは予想通りの結果でした。
次に、術後6ヵ月後の平均値はマイクロシェーバー法で25.2、反転剪除法で23.6でした。最小値はともに0、最大値はそれぞれ70と100でやはりバラツキがみられました。平均値を見るとまずまずですが、やはり非常にバラツキが大きいと言えます。
「わきが手術は多汗症にも効果あり」
この言葉自体は間違いではなく、正しいと言えますし、実際にそのように宣伝する施設が多い状況です。しかし、実際の効果にはかなりのバラツキがあり、場合によっては元の状態と変わらないことも少なくはないのです。そのため、エースクリニックではわきがの外科手術を脇汗を止める目的では行っておりません。わきがの外科的手術はある程度リスクやダウンタイムを伴います。脇汗を抑える治療で、リスクもほとんどない他の有効な治療(ボツリヌストキシン注射やミラドライ)があることを考えると、多汗症の治療としてこれらの手術を行うことは良く考えてから行う必要があるからです。
まとめ
マイクロシェーバー法、反転剪除法ともに高い臭いの除去効果が得られる手術です。
ただし汗を抑える効果にはバラツキがみられるので、脇汗の治療目的をメインには行うべきではありません。