口の周りのしわ
今回は口の周りのシワの治療について話をします。
口の周りにできるシワは上口唇の縦じわがあります。
このシワがあると非常に老けた印象になるので、
お悩みの方も多いと思います。
皮膚の薄い女性は30代くらいから気になり始めます。
特に食事の際咀嚼するときにおばあちゃんくさくなるので、
傍で見ていて非常に気になるしわです。
このしわの治療には、
通常ヒアルロン酸などのフィラーを使用することが多いですが、
フィラーだけで治療すると鼻の下の部分がややぼってりした印象になるので、
ボトックスと組み合わせた方が良い場合も多くあります。
上口唇の縦ジワは、
口輪筋という口の周りをぐるっと取り囲むような
筋肉の収縮によって生じます。
口輪筋は、
口を閉じたり前方に突き出して尖らせる筋肉で
発音や食事のための括約筋として働きます。
この筋肉にボトックスを効かせると
上口唇の縦じわが浅くなります。
しかし、口輪筋の動きを制限するので、
必然的にこの筋肉本来の機能も弱めてしまうことになります。
発音では、「バビブベボ」「パピプペポ」などの破裂音が
若干発音しにくくなります。
実際に話してみて
言葉が不明瞭になることはほとんどありませんが注意が必要です。
また、ストローを吸う、タバコを吸うなどの動作も多少しにくくなります。
以上のような理由で
この部位へのボトックスの注射はごく微量で行います。
ごく微量であればまず大変なことにはなりませんし、
万が一少々不都合なことがあったとしても、
その症状は比較的短期間で消失します。
また、年齢とともに鼻の下の距離は伸びてきますが、
もともと鼻と唇の距離が長い人の上口唇に
このボトックスを注射すると、
さらに鼻の下が伸びてしまいます。
見た目上良くないので、この点も注意が必要です。
注射の際に注意する点は、
口輪筋には口を放射状に開ける様々な筋肉がついていますので、
そのような筋肉にまで
ボトックスが拡散して効いてしまわないように
赤唇縁にごく少量左右対称に注射を行います。
以上のように上口唇へのボトックス注射は
注意が必要な点も多いのですが、
総じて結果も良いものですので、
ヒアルロン酸やPRPなどの治療だけでは満足がいかない場合に
考慮に入れてみるといいのではないかと思います。