ボトックスの失敗例:避けるべきリスクと予防策
ボトックスは、ボツリヌス菌が産生する毒素を使用して筋肉を弛緩させる治療法で、額や眉間、目尻のしわ改善やエラの張りの減少、多汗症治療などに広く用いられています。
しかし、注入部位や量、方法を誤ると、「表情が不自然になる」「笑顔が引きつる」「まぶたが下がる」といった失敗のリスクがあります。
SNSではいわゆる「失敗例」の投稿が目立つこともあり、それらを目にすると不安を持たれる方が多いと思います。
その多くは注射方法や注入量を正しく守ることで防ぐことができます。
ボトックス注射の代表的な「失敗例」とその原因、予防策を正しく知ることは、今後ボトックス治療を検討されている皆様の不安を解消する一助となります。
それでは、以下に、症状別に特徴的な「失敗例」を見ていきましょう。
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特徴的なボトックスの失敗例
眉が吊り上がる
額の内側下部(前頭筋の中央部)にボトックスが強く効くと、眉尻に対して眉頭側が下がって見え、不自然に吊り上がった眉になることがあります。この状態を「スポックブロウ」と言い、映画「スタートレック」のキャラクター「スポック」の眉毛に由来します。
対策: 眉間に注射する場合は、前頭筋に極力効かないように、注射するポイントを眉から離れないようにすること。額に注射する場合は前頭筋の外側にもしっかり効くようにすること。
笑顔が引きつる
目尻にボトックスを注射すると、眼輪筋外側部の筋肉が抑制されて目尻のしわを浅くしますが、逆に笑ったときに眉尻が下がらない状態になり、笑顔が引きつることがあります。
対策: 目尻へのボトックス投与の回数が浅い場合、なるべく弱く効かせることや、目尻の遠い部位へ注射すること。
笑いにくい・笑えない
笑う際に頬の位置が上がるのは笑筋や大頬骨筋、小頬骨筋の動きによるものですが、これらの筋肉にボトックスが効くと笑えないという症状が出ます。
対策: 目尻や下まぶたにボトックスを注射する際は、注射ポイントをあまり下に持って行かないこと、ごく少量の注射に留めておくこと。
眉が下がる・まぶたがたるむ・二重が狭くなる
前頭筋にボトックスが効くと眉毛下垂が生じ、眉が下がり、人によってはまぶたがたるんで見えます。これらの症状は、額にボトックスを注射した場合、多かれ少なかれ生じます。
対策: 筋肉が皮内に到達する終末の部分にのみ効かせる「マイクロボトックス」を使用すること。特に中年以上の女性の額への投与は、全例マイクロボトックスが無難。
まぶたを開けにくい・開かない
まぶたを開ける筋肉である上眼瞼挙筋にボトックスが効くと眼瞼下垂が生じます。また、もともと潜在的な眼瞼下垂があったものの、眉毛挙上によって代償していた場合に、前頭筋へのボトックス投与により眼瞼下垂が顕在化する場合もあります。
対策: 眉間や注射する際にはまぶたに薬液が拡散しないように、注射の深さと方向、注入方法に留意すること。また、額に注射する際には潜在的な眼瞼下垂がないかしっかり確認した上で行うこと。
クマが目立つ
下まぶたにボトックスを注射すると、同部位の眼輪筋がゆるみ、結果目袋(眼窩脂肪)の突出が目立ってくる場合があります。
対策: 目袋が気になる方は下まぶたへの注入を避けること。
口がゆがむ
口角にボトックスを注射した場合、左右対称にボトックスが効かなければ、左右どちらか一方の口角のみが下がって感じ、口がゆがんで感じることがあります。
対策: 左右対称な位置にマーキングを行い、注射手技も極力左右対称に行うこと。
ろれつが回らない・しゃべりにくい
口の周りの筋群にボトックスを注射すると、ろれつが回らない、しゃべりにくいといった症状が出ることがあります。口の周りでボトックスを注射することがある部位は、上口唇、あご、口角があります。
対策: 狙った部位の筋肉だけに効くように、極力薬液の拡散がしにくい注射方法で、ごく少量の注射に留めること。
エラの筋肉が部分的にふくらむ
咬筋(エラ)へのボトックスの効き目が均一でないと、効き目が弱い部位の筋肉が逆に過剰に収縮して、噛み締めたときにエラの一部がボコッと盛り上がることがあります。
対策:注射したボトックスが満遍なく効くように、薬剤の量、注射の間隔、深さなどを見極めて注射すること。
予防策と対策
ボトックス治療は比較的ポピュラーな施術ではあるものの、その効果が約3-6か月間持続するため、すぐに元に戻すことは難しいです。
失敗を避けるためには、治療実績が多い医療施設を選び、不安や疑問にしっかりと答えてくれる医師を選ぶことが重要です。事前の診察で納得してから施術を受けるようにしましょう。
当院は豊富な治療実績をもとに、患者さん一人ひとりの症状やご要望をしっかり伺ったうえで適切な治療提案をいたしております。ぜひご相談ください。