VビームⅡとVビームⅠの違いについて
Vbeam perfecta(以下Vビームパーフェクタ)を日本市場向けにカスタマイズしたVbeamⅡ(以下Vビーム2)が皮膚良性血管病変治療用レーザー装置として2016年9月に医療機器製造販売承認を取得しました。それを機に日本でもVbeamⅠ(以下Vビーム1)の後継機であるVビーム2(Vビームパーフェクタ)の普及が進むものと思います。当院も2017年4月に、長年愛用してきたVビーム1を引退させてVビーム2を導入いたしました。Vビーム2にバージョンアップすることで治療効果アップが期待でき、患者様にとってメリットが大きくなることと思います。
進化したVビームですが、ではいったいVビーム1とVビーム2の何が違うのでしょうか?
Vビーム2が1と比べて優れている点を以下に解説します。
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(1)大口径
Vビーム1では最大スポット径が10mmでした。Vビーム2には12mmスポットが追加され、より大きな口径でスピーディーな照射が可能となりました。
(2)ハイパワー
Vビーム1では、例えば10mmスポットの場合、最大で7.5Jまでしか出せませんでした。Vビーム2では最大10Jまで出力可能です。これは10mmスポットに限らず、全てのスポット径で同様にハイパワー照射が可能になりました。最大出力はスポット径とパルス幅によって異なりますが、おおむね1.5倍~2倍の出力が出せるようになっています。
(3)サブパルスの増加
Vビーム1は最大4つのサブパルスから構成されていました。これに対しVビーム2は最大8つのサブパルスから構成されています。サブパルスが増加したことで血管内の温度上昇が緩徐となり、紫斑形成(皮下出血)が生じにくくなりました。
(4)シングルパルス照射が可能
一番パルス幅の短い0.45msecに限っての話ですが、Vビーム1では2つのサブパルスで1パルスを構成していたのに対して、Vビーム2はシングルパルスのみで構成されています。他の0.45msecより長いパルス幅だと、(3)で述べたようにVビーム2の方がより多くのサブパルスで1パルスを構成しています。0.45msecだけ例外で真逆になるわけです。これは最もピークパワーの高くなる0.45msecのパルス幅でさらにピークパワーを高くするための措置です。これにより小径の血管に対する切れ味が良くなりました。
まとめ
以上がVビーム2で改良された点ですが、実際に使用してみるとVビーム1とはかなり使い勝手が良くなっている印象です。まず第一に(1)(2)による恩恵です。広範囲の血管腫に対してVビーム1は非力な照射しかできなかったため、7mmスポットで照射するしかありませんでしたが、Vビーム2では10mmスポットでスピーディーに照射できます。7mmと10mmでそんなに違いはないのではないかと思われるかもしれませんが、面積換算で2倍違いますから単純に2倍は早く照射できることになります。第二に(3)による恩恵ですが、これが最も大きなメリットかもしれません。Vビーム2では赤みや腫れ、紫斑などの照射による副反応が生じにくくなっています。もちろんどんどんパワーを上げていけば(あるいはパルス幅を短くすれば)生じるのですが、Vビーム1と全く同じパラメーターで照射した場合の違いが顕著です。結果、よりハイパワーでの照射が可能となり、治療効果が早期に現れやすくなりました。また、現時点では(4)の恩恵はまだ検証できていませんが、血管腫などの治療には理論上メリットは大きいはずです。
当初Vビーム2はVビーム1からのマイナーチェンジに過ぎないと考えていましたが、しばらく使ってみた現在、Vビーム2はかなりグレードアップした素晴らしいレーザーという評価になりました。