わきの下に存在する分泌腺
わきがとは主に脇の下から独特の悪臭を放つ状態のことを言います。
ワキの下の皮膚にはアポクリン腺、エクリン腺、皮脂腺の3つの分泌腺が存在します。
わきがの悪臭の原因は、このうちのアポクリン腺から出される分泌液です。この分泌液が皮膚の常在細菌によって分解されることで強い悪臭となります。従って、わきがの治療とはいかにしてこのアポクリン腺をしっかりと除去するかということになります。
皮脂腺の分泌する皮脂やエクリン腺から分泌される汗も無臭ではありません。そのため、ときにそちらの臭いを気にされている場合もあります。
(1)アポクリン腺
大汗腺とも言います。
哺乳類では、アポクリン腺の分泌物は細菌により分解されて特有の臭いを発することで、性的な作用を生み出すフェロモンとして機能しています。 ただし人では、アポクリン腺は限られた場所に集中して分布するだけとなっているため、フェロモンとしての役割を失ったと考えられています。
アポクリン腺は、わきの下、外耳道、乳輪、外陰部、肛門周囲、まつ毛の生え際、鼻翼などに存在します。 外耳道にはエクリン腺はなく、アポクリン腺のみが耳垢を湿らせる作用があるため、湿性耳垢の人はわきがである確率が高くなります。
湿性耳垢の頻度は人種間で大きな差が見られ、韓国人で4~7%、日本人で16%、白人で 90%以上、黒人で99.5%と言われています。このことは、わきがである人の率が少ない日本人で、臭いがそれほど強くなくても問題となってしまう原因となっています。
(2)エクリン腺
小汗腺とも言います。
運動をしたり暑い時にかくいわゆる”汗”を出す腺です。エクリン腺は毛穴とは独立して存在し、アポクリン腺よりも浅く位置します。 人間のほぼ全身の体表面に存在します。例外的にエクリン腺が存在しない部位として、亀頭、包皮の内側、陰核、小陰唇、外耳道、爪、くちびるがあります。
(3)皮脂腺
皮脂を分泌します。皮脂は皮膚表面に膜を作り、皮膚を乾燥から防ぐ役割を果たします。