痛くない!世界一細い35Gエンジェニードル
世界一細くて、痛くなくて、内出血しない、針界の超新星「35Gエンジェニードル」を導入しました。パチパチ。
さっそく立て続けに10例ほど使用してみましたが、本当に痛くなくて内出血しない驚異的な針でした。
注射針の太さはゲージ(G)という単位を使って表します。数字の並びと太さは真逆の関係で、数字が小さいほど太く、数字が大きいほど細くなっています。輸血や献血なんかに使う針(18G)は非常に太いので例外的ですが、普通の病院や診療所ではだいたい23G~27Gあたりを使用します。用途によって違う太さの針を使い分けるのですが、美容クリニックだとより細い針を使用するのが普通で、27G~32Gあたりをよく使います。
32Gでも一般の方が見ると「めっちゃ細っ!」と思うくらいの細さで、かなり痛みの少ない針です。しかし、それをはるかに凌駕する世界最細の針が開発されたというので、さっそく取り寄せて試してみることに。
↑の画像をクリックすると拡大表示されます。一番左が30G、真ん中が32G、一番右が35Gです。35Gの細さは一目瞭然ですね。細すぎてヤバイです。
見た目からして、痛みがほとんどなさそうなのですが、実際はどうか試してみました。
被験者の目の下に100回くらい刺してみましたが、ほとんど痛みを感じないそうです。さらにほぼ出血ゼロです。普段は当院でヒアルロン酸注射やボトックス注射などの注入系施術をする場合には、静脈可視化装置を使用して極力血管を避け内出血を防ぐようにしていますが、今回はあまり何も考えず静脈可視化装置も使用せず適当に針を刺したのにもかかわらず全く出血しませんでした。皮膚から血がほとんどにじみ出ない状態です。外にも出血せず、内出血も全くありません。
試しに使ってみてすぐにこれは素晴らしい針であることはわかったのですが、見ての通り針の長さは短いです。これは恐らく針が長いと細すぎて途中で折れてしまう可能性があるからではないかと思います。
いいことづくめな35Gエンジェニードルですが、欠点もあります。それはメチャクチャ高価なこと。しかも!激細なためすぐなまって刺さりにくくなってしまうため、1回の施術で複数回針を交換しなければならないのです。そういった事情を考慮すると、用途としては特に目の周囲のしわやクマの治療(ヒアルロン酸注射、ベビーコラーゲン注射、ボトックス注射)など比較的限定されそうです。また、これだけ針が細いと注入時にかなりの圧力をかけないと入っていきません。力作業では細かい仕事ができませんので、もし人間の手の力だけで注入するとなると細かい量の調整は結構難易度が高いと言えます。そのため、当院では35G針を使用する場合は自動注入器のアシストを使って注入するようにしています。現在、当院ではベビーコラーゲン注射には標準で35Gエンジェニードルを使用しています。
これで細かい良い仕事ができます。
※以前に、40Gスパイラルニードルのオスモインジェクターを紹介しました。オスモインジェクターの40Gスパイラルニードルは針の側面に溝が掘ってあるタイプの針で、35Gエンジェニードルのようにいわゆる真ん中に空洞がある針ではありません。真ん中に空洞があるタイプの針で(2016年5月時点で)世界最細なのは35Gエンジェニードルです。