ジュビダームビスタシリーズのヒアルロン酸(ボリューマ、ボリフト、ボルベラ)でお馴染みのアラガンジャパン主催で行われた、ヒアルロン酸注入の合併症マネジメントセミナーに参加してきました。
ヒアルロン酸注入の世界的なブームにより、全世界で合計するとすさまじい数の注入施術が行われています。
これまで極めて稀な合併症とされたきた動脈塞栓による皮膚壊死や失明、脳梗塞などが、全世界的で合計するとかなりの数が発生していることもまたわかってきています。
ということで、この合併症の内容だけで7時間半!にも及ぶ長時間のレクチャーを受けてきました。講師は注入治療にかかわる合併症マネジメントの世界的権威であるDr. Greg Goodmanでした。
ヒアルロン酸製剤は粘性があるため、血管内に入ると血管を詰まらせてしまうことになります。
もちろんこれは極めて稀ではあるものの、特に動脈内に入ると極めて重篤な事態を引き起こし得ます。どの動脈を詰まらせるかによって症状は変わってきますが、皮膚壊死、失明、脳梗塞などの可能性があります。
もちろん、こういったことはここ数年来、重篤な合併症として情報提供されてきたことでもあるので、注入治療を行っている医師として、そのようなことが起こり得るということは、きちんと認識はしておりましたが、今回のセミナーの内容はその医学的なメカニズムとマネジメントについて非常に深く掘り下げた大変意義深いものでした。
このセミナーで学んだことは、
(1)どのように完璧(と考えられる)なプロセスを経て施術を行ったとしても、100%完全に塞栓症を防ぐことはできない。
(2)しかしながら、リスクを最小限化するために、守るべきことはきっちりと守る必要がある。
ということです。
これまでの認識と変わりはないのですが、医学的なデータを非常に多く共有でき、合併症マネジメントに関しての知識が大変深まりました。
ヒアルロン酸注入の合併症リスクを最小限化するためには、
- 1 部位ごとに安全な深さを理解する。
- 2 ゆっくり入れる。
- 3 カニューレを挿入するところにエピネフリン入りの麻酔をする。
- 4 カニューレを皮膚に対して垂直に挿入する。
- 5 1か所に対してマイクロボーラス(0.1ml以下)の注入量とする。
- 6 選択的なプレーンで針を動かしながら注入する。
- 7 アスピレーションは安全性を担保しない。
- 8 眼から遠ざける方向に入れる。
以上のポイントを推奨していました。いくつかのポイントは、その通りにするべきかどうか、議論の余地があると思います。
これまでもそうしてきましたが、今後も引き続き細心の注意を払って注入治療をしていきたいと思います。
この記事の監修
エースクリニック 院長:
竹内孝基 医師
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