ドクターブログ | ミラドライは本当に“低侵襲”なのか?:「手軽」と思われがちな治療の実態とクリニック選びの重要性

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ミラドライは本当に“低侵襲”なのか?:「手軽」と思われがちな治療の実態とクリニック選びの重要性

ミラドライは低侵襲

「切らないワキガ・多汗症治療」として人気を集めるミラドライ
2025年現在、従来の手術療法を大きく上回る施術数となっていますが、「低侵襲」「気軽に受けられる」というイメージが先行し、その実態について正しく理解されていないケースが少なくありません。
10年以上のミラドライ診療経験と腋臭症手術の豊富な実績を持つ当院が、ミラドライの本当の姿とその効果を最大限に引き出すための重要なポイントをお伝えします。

ミラドライとは?—決して「低侵襲」とは言えない治療メカニズム

ミラドライは、マイクロ波エネルギーを用いて汗腺を破壊する治療法です。「切らない」という点だけを見れば手術より低侵襲に感じられますが、実際にはかなりの熱エネルギーが皮膚深部に加わります。
このマイクロ波エネルギーは電子レンジと同じ原理で、その熱量は適切に管理されなければ周囲組織にも相当なダメージを与えます。言い換えれば、効果を得るためには必然的に強い侵襲が伴うということです。汗腺をしっかりと破壊するためには、この侵襲性は避けられないものなのです。

ミラドライヒートゾーン

施術の実態:「手軽さ」の裏側にある真実

熱による組織損傷の本質

ミラドライでは皮膚表面は冷却されますが、深部では強い熱エネルギーが加わります。実際に過去にミラドライを受けた方の皮膚切開を伴う腋臭症手術を行った際、患者さんの皮下には明らかな瘢痕形成が確認できました。これは周囲組織にも熱ダメージが及んでいる証拠です。

施術後に生じる反応—軽視できない侵襲の証

ミラドライリスク

1. 相当な腫れ
施術翌日以降、多くの患者さんが「脇の下にゴルフボールやピンポン玉をはさんだ感じ」と表現する強い腫れが生じます。これは部分的な熱傷の結果であり、1〜2週間程度持続することが一般的です。時に上腕や側胸部、乳房にまで腫れが及ぶことも珍しくありません。

2. 無視できない疼痛
局所麻酔が切れると、多くの患者さんが「施術後の痛みが辛かった」と述べます。処方された鎮痛剤でも十分に抑えきれないケースもあり、これはそれだけの強い熱エネルギーが加わったことを示しています。当院では、ご希望の方に、長期持続型局所麻酔剤「エクスパレル」を活用して痛みの軽減に努めていますが、これも施術の侵襲性を裏付けるものです。

3. しこり・硬結形成
熱エネルギーによりアポクリン腺や皮下組織が変性し、瘢痕組織が形成されます。この瘢痕組織により、皮膚をつまんだ時にしこり状に硬く触れることがあります。これは治療効果を得るための必然的な過程ですが、同時に決して「手軽な施術」ではなく、組織に強いダメージを与える治療であることの証明でもあります。

なぜ専門性の高い医療機関選びが重要なのか

ミラドライの施術には、稀ではありますが看過できない合併症リスクが存在します:

神経障害のリスク
以前は一時的な神経障害が発生するケースがありました。現在は神経障害を防ぐための局所麻酔方法が確立され、当院では最新プロトコルの下で1例も神経障害を経験していません。しかし、これは適切な技術と知識を持った医師による施術が重要であることを意味します。

蜂窩織炎・膿瘍のリスク
稀ではありますが、組織へのダメージにより局所免疫力が低下し、蜂窩織炎や膿瘍が発生することがあります。当院のように多数の症例を扱う施設でも年に1〜2例程度経験するものです。これらの合併症に対応するためには、腋臭症の外科的治療に精通した医療機関での施術が不可欠です。

重篤な合併症の事例
国内では、不適切な部位(陰部)への照射により壊死性筋膜炎が発生し、死亡事故に至ったケースも報告されています(2022年論文報告)。ミラドライは腋窩のみに照射するよう厳格に規定されていますが、この事例は適切な知識と技術を持つ専門医による施術の重要性を如実に物語っています。

ミラドライ施術の実際の侵襲度比較

脇の汗や臭いへの治療は、ミラドライ、ボトックス注射、手術のいずれかで行われることがほとんどです。それぞれの違いを表にまとめました。

施術名 侵襲度 特徴 汗・臭いへの効果
ミラドライ 切開不要だが、
熱による深部組織ダメージが強い
両方あり
ボトックス注射 一時的な効果だが、
ダウンタイムはほぼない
汗への効果が中心
手術(剪除法など) 効果は高いが、
傷跡が残る、合併症リスク高い
臭いへの効果が中心

ミラドライの侵襲度は、ボトックス注射と外科的手術の中間くらいと考えていただくと理解しやすいと思います。外科的手術よりは、リスクも低く、ダウンタイムも短いですが、侵襲度が低い施術というわけではありません。施術を受ける際には、腫れや痛みに対しての準備や心構えが必要です。

ミラドライのメリット—適切な施術があってこそ得られる効果

このように侵襲性は決して低くないミラドライですが、適切な施術によって以下のような大きなメリットが得られます:

ミラドライ施術

長期的効果
一度の施術で汗腺を効果的に破壊するため、長期間にわたって効果が持続します。

傷跡が残らない侵襲性は高くとも皮膚表面に切開を加えないため、見た目への影響が最小限です。

多汗症とワキガの同時改善
エクリン汗腺とアポクリン汗腺の両方を破壊することで、複合的な効果が期待できます。

安心・安全なミラドライ施術を受けるために
—信頼できる医療機関を選ぶ重要性

信頼できる医師

ミラドライの効果を最大限に引き出しつつ、リスクを最小限に抑えるためには、以下の条件を満たす医療機関を選ぶことが極めて重要です:

豊富な施術実績
数多くの症例を経験している医師は、個人差のある反応や予期せぬ合併症にも適切に対応できます。

腋臭症手術の専門知識
万が一の合併症に対応するためにも、腋臭症の外科的治療に精通している医療機関での施術が望ましいです。

最新プロトコルの採用
神経障害防止などの安全対策が十分に取られているかを確認しましょう。

適切なアフターケア体制
施術後の経過観察と、何か問題が生じた際の迅速な対応が可能な体制が整っていることが重要です。

まとめ:正しい理解と適切な医院選びがミラドライ成功の鍵

ミラドライは決して「低侵襲」な施術ではなく、「ごく手軽に受けられる」施術というわけでもありません。
その効果を得るためには一定の侵襲性が伴い、施術後には一時的な腫れや痛みなどの反応が生じます。しかし、これらを正しく理解した上で、腋臭症多汗症治療に精通した専門の医師のもとで適切に施術を受ければ、ワキガや多汗症に悩む多くの方にとって非常に効果的な治療選択肢となります。
にわかに急増した自称ミラドライ専門クリニックや、美容皮膚科のみ診療しているミラドライ施術ではなく、腋臭症の外科的治療にも精通した実績ある医療機関での施術をお勧めします。それこそが、ミラドライの効果を最大限に引き出し、安全に治療を受けるための堅実な選択なのです。

監修医師

竹内 孝基 医師

エースクリニック理事長

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